私が目に留めたのは、欧州でAIに関する包括的な規制法が施行段階に入ったという短い記事だった。大きな見出しでもなく、数字も控えめで、感情を揺らす言葉もなかった。

その記事は、どこまでが許され、どこからが注意深く扱われるのかを淡々と並べていた。期待や不安を煽る調子はなく、ただ決まったことが決まった、という距離感だった。

私は読みながら、AIそのものよりも、こうした話題が「制度」という棚に置かれる速度を考えていた。技術の話が、いずれ静かな行政文書の言葉に置き換わっていく、その途中の一枚のように見えた。

この手のニュースは、知らなくても困らない。知ったからといって、何かを変える必要もない。ただ、騒がしさの外側で、線が引かれていく様子を知るだけだ。

紙面を閉じたあと、特別な感想は残らなかった。残ったのは、決定事項が増えたという事実と、少しの余白だけ。